不動産仲介業界の現状と給料の実態
不動産仲介の世界に足を踏み入れようとしている方、あるいはすでに業界で働いているけれど収入に不満を感じている方は多いのではないでしょうか。
「不動産業界は稼げる」というイメージを持たれている方も少なくありません。確かに、トップセールスマンになれば年収1000万円以上、さらに上を行く営業マンは億プレーヤーとして活躍しています。しかし、実際の業界の平均年収は意外にも高くないのです。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、不動産業界全体の平均年収は約456万円です。これは日本の全業種平均年収の457万6,000円とほぼ同等レベルであり、特別高いわけではありません。さらに不動産仲介に限ると、平均年収は約400万円とさらに低くなります。
なぜこのような現状なのでしょうか?そして、どうすれば年収をアップさせることができるのでしょうか?
不動産仲介の給料が低い3つの理由
不動産仲介業界の給料が低い理由は、主に以下の3つに集約されます。
まず、業界の構造的な問題として「2:6:2の法則」が存在します。これは、どの業界にも当てはまる法則ですが、不動産仲介業界では特に顕著です。
1. 2:6:2の法則による収入格差
不動産仲介業界では、「2:6:2の法則」が如実に表れます。これは、上位2割の営業マンが会社の売上の大部分を占め、中位の6割がそこそこの成績、下位2割はほとんど成果を上げられないという法則です。
実際の年収を例で見てみると、上位2割の営業マンは年収800万円〜1000万円以上、中位6割は330万円〜370万円程度、下位2割は220万円〜230万円程度となっています。この格差が平均年収を引き下げる大きな要因となっているのです。
求人情報で目にする高額な年収は、ほとんどの場合、上位2割の営業マンの実績だけを記載しているものです。現実には、多くの営業マンが平均以下の収入で働いているという事実があります。
2. 基本給の低さとインセンティブ依存の給与体系
不動産仲介業界、特に中小企業では「基本給が低く設定されている」ケースが多いです。中には「完全歩合(フルコミッション)」の会社もあり、売上がまったく上がらなければ、年収200万円台という厳しい現実もあります。
ある不動産仲介営業マンの例では、基本給は月8万円程度で、売上げが上がらなければインセンティブもつかないため、ほとんど稼ぐことができません。この方の年収は280万円程度だったそうです。
地方に行くと最低賃金も低いため、不動産の営業マンといえども稼いでいる人は稀な存在となっています。
3. 年による売上変動の大きさ
不動産業界は「数字をあげてナンボの世界」です。そのため、その年によって年収にかなりばらつきが出るのも特徴です。
先ほどの例の営業マンは「今年の年収は300万円程度です。不動産は営業力もさることながら、かなり案件に依存しますので運も大切な要素だと思います。ちなみに昨年の年収は650万円程度です」と語っています。
このように、同じ人でも年によって年収が2倍以上変わることもあるのです。
不動産仲介業界で年収をアップさせる5つの方法
不動産仲介業界の厳しい現実を知ったところで、どうすれば年収をアップさせることができるのでしょうか?
実は、戦略的に行動すれば、不動産仲介業界でも高収入を得ることは十分可能です。ここでは、実践的な5つの方法をご紹介します。
1. 売買仲介にシフトする
不動産仲介には「賃貸仲介」と「売買仲介」がありますが、年収アップを目指すなら売買仲介にシフトすることをおすすめします。
賃貸仲介の場合、1件あたりの仲介手数料は家賃の1ヶ月分程度ですが、売買仲介の場合は物件価格の3%+6万円(税別)と、1件あたりの金額が格段に大きくなります。
例えば、3000万円の物件を仲介した場合、手数料は96万円(税別)になります。賃貸の家賃8万円の物件を10件仲介しても80万円ですから、売買1件の方が大きいことがわかります。
売買仲介は賃貸仲介よりも専門知識や経験が必要ですが、その分だけ収入も大きくなる可能性があります。
2. 宅地建物取引士などの資格を取得する
不動産業界で高収入を目指すなら、宅地建物取引士(宅建)の資格取得は必須です。宅建資格を持っていると、基本給やインセンティブが上がる会社が多いですし、キャリアアップにも有利です。
宅建以外にも、不動産鑑定士、管理業務主任者、マンション管理士などの資格を取得することで、より専門性の高い業務に携わることができ、年収アップにつながります。
資格取得のための勉強は大変ですが、将来の収入アップのための投資と考えて、積極的に取り組みましょう。
3. 高インセンティブの会社に転職する
不動産仲介業界では、会社によって給与体系が大きく異なります。年収アップを目指すなら、基本給は低くても高インセンティブの会社に転職することも一つの選択肢です。
どうですか?
特に営業力に自信がある方は、完全歩合制や高インセンティブの会社の方が、自分の実力を収入に直結させやすいでしょう。ただし、安定性を求めるなら、ある程度の基本給が保証されている会社を選ぶことも大切です。
転職を考える際は、インセンティブの仕組みや実際の支給実績などをしっかり確認しましょう。
4. 営業スキルを磨く
不動産仲介業界で成功するためには、営業スキルを磨くことが不可欠です。特に以下のスキルを重点的に強化しましょう。
- コミュニケーション能力:お客様のニーズを正確に把握し、信頼関係を構築する
- 物件知識:地域の相場感や物件の特徴を熟知し、的確な提案ができる
- 交渉力:売主と買主の間で最適な条件を引き出す
- クロージング技術:商談を成約に結びつける
これらのスキルは日々の業務の中で意識的に磨いていくことが大切です。また、営業研修や書籍などで体系的に学ぶことも効果的です。
5. 独立して自分の不動産会社を立ち上げる
キャリアを積んで経験と人脈ができたら、独立して自分の不動産会社を立ち上げることも視野に入れましょう。
独立すれば、仲介手数料の全額が自分の収入になります(もちろん経費は差し引かれますが)。また、自分の強みを活かした特化型の不動産会社を作ることで、競争の激しい市場でも差別化を図ることができます。
独立には資金やリスクが伴いますが、成功すれば年収1000万円以上も十分に可能です。週5日の勤務で月収60万円、年収720万円を目指すことができるでしょう。
不動産仲介業界で高収入を得ている人の特徴
不動産仲介業界で高収入を得ている人には、いくつかの共通した特徴があります。年収アップを目指すなら、これらの特徴を参考にしてみてください。
1. 顧客志向の強さ
高収入を得ている不動産営業マンの最大の特徴は、「顧客志向」の強さです。彼らは単に物件を売ることだけを考えるのではなく、お客様の本当のニーズを理解し、最適な提案をすることに注力しています。
短期的な利益よりも、お客様の満足を優先することで、紹介や口コミによる新規顧客の獲得につながり、結果的に長期的な高収入を実現しているのです。
お客様の立場に立って考え、誠実に対応することが、不動産仲介業界で成功するための基本です。
2. 継続的な自己投資
高収入の不動産営業マンは、自己投資を惜しみません。業界の最新動向や法律の改正、新しい営業手法などを常に学び続けています。
また、宅建だけでなく、不動産鑑定士やファイナンシャルプランナーなど、関連資格の取得にも積極的です。これにより、お客様に対してより専門的なアドバイスができるようになり、差別化につながっています。
自己投資は短期的には出費になりますが、長期的には必ず収入アップにつながります。
3. 効率的な時間管理
不動産仲介業界では、時間の使い方が収入に直結します。高収入者は、効率的な時間管理を徹底しています。
見込み客の優先順位付け、効率的な物件案内のルート設計、事務作業の効率化など、限られた時間で最大の成果を上げるための工夫を常に行っています。
また、繁忙期と閑散期のメリハリをつけた働き方も特徴です。繁忙期には集中して成約数を増やし、閑散期には新規開拓や自己研鑽に時間を使うなど、計画的に行動しています。
4. 強固な人脈形成
不動産業界で高収入を得ている人は、強固な人脈を持っています。物件オーナー、金融機関、建築会社、リフォーム業者など、業界内外の幅広いネットワークを構築しています。
これにより、良質な物件情報をいち早く入手したり、お客様の多様なニーズに応えるためのサポート体制を整えたりすることができます。
人脈形成は一朝一夕にはできませんが、日々の誠実な対応の積み重ねが、やがて強力なネットワークとなって収入アップにつながります。
不動産仲介業界でのキャリアパスと将来性
不動産仲介業界でのキャリアパスは多様です。ここでは、一般的なキャリアパスと業界の将来性について解説します。
一般的なキャリアパス
不動産仲介業界での一般的なキャリアパスは以下のようになります。
- 新人営業 → 中堅営業 → トップセールス
- 営業 → 店長 → エリアマネージャー → 役員
- 営業 → 独立開業
多くの場合、まずは営業職として経験を積み、実績を上げていきます。その後、マネジメント職に進むか、専門性を高めてトップセールスを目指すか、あるいは独立するかの選択肢があります。
どのキャリアパスを選ぶにせよ、最初の数年間で基礎的な知識とスキルをしっかり身につけることが重要です。
業界の将来性
不動産仲介業界の将来性については、いくつかの観点から考える必要があります。
人口減少や高齢化により、新築住宅の需要は減少傾向にありますが、その一方で中古住宅市場やリノベーション市場は拡大しています。また、相続や事業承継に伴う不動産売買のニーズも増加しています。
さらに、テクノロジーの進化により、VR内覧やAIによるマッチングなど、新しいサービスも登場しています。こうした変化に対応できる柔軟性と専門性を持った人材は、今後も高い需要があるでしょう。
不動産は「人生で最も高額な買い物」であり、専門家のアドバイスが必要な分野です。AIやテクノロジーが進化しても、最終的な判断や細かな交渉は人間の営業マンが担う部分が大きいため、完全に自動化されることは考えにくいでしょう。
まとめ:不動産仲介で年収アップを実現するために
不動産仲介業界の平均年収は約400万円と、特別高いわけではありません。しかし、適切な戦略と努力次第で、年収1000万円以上も十分に目指せる業界です。
給料が低い理由としては、2:6:2の法則による収入格差、基本給の低さとインセンティブ依存の給与体系、年による売上変動の大きさなどがあります。
年収アップのためには、売買仲介へのシフト、資格取得、高インセンティブの会社への転職、営業スキルの向上、そして将来的な独立開業などの方法があります。
高収入を得ている不動産営業マンの特徴としては、顧客志向の強さ、継続的な自己投資、効率的な時間管理、強固な人脈形成などが挙げられます。
不動産仲介業界は変化の激しい業界ですが、人々の「住まい」に関わる重要な仕事であり、専門性と人間力を高めることで、今後も安定した需要が見込める分野です。
最後に、不動産仲介業は単なる「物件を売る仕事」ではなく、お客様の人生の重要な決断をサポートする、やりがいのある仕事です。短期的な収入だけでなく、長期的な信頼関係の構築を心がけることが、結果的に高収入につながる道だと言えるでしょう。
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